遺言書があり指定相続がされると、配偶者や子供が家を失い生活ができなくなります。
例えば父親が愛人に全部の遺産を遺言で遺贈してしまったら家族が困ってしまいます。
そこで民法では、法定相続人が最低限の遺産を受け取れるように最低限の遺産取得分が決まっています。それが「遺留分」です。
■遺留分が請求できるのは「配偶者」「子供」「直系尊属」
亡くなった方の、配偶者、子供、直系尊属(父や母、祖父母など、自分より前の世代で直接の系統の親族)が遺留分を請求できます。
つまり、妻、夫、子供、親は請求できますが、亡くなった方の兄弟は遺留分を請求することはできません。
また子供が亡くなっていたが孫がいる場合、孫にも子どもと同じ割合の遺留分が認められます。これを代襲相続人といいます。
■遺留分は1/2だが、直系尊属だけの場合は1/3
遺産に対して、遺留分は1/2です。この遺留分を配偶者と順位内で分けます。
ただし、例えば父または母だけの場合など、直系尊属だけの場合には遺留分は1/3になります。
■遺留分を配偶者と子供で分けた場合
遺産が3,000万円あったとします。
遺言で他の人に全額が指定されていたとしても、配偶者と子供2人がいた場合に、遺留分を請求すれば、
まず遺留分1,500万円、これを配偶者(1/2)と子供(1/2)で分けて、配偶者が750万円、子供1人あたり375万円となります。
■遺留分を配偶者と両親で分けた場合
遺産が3,000万円あったとして、配偶者と両親がいた場合には、
遺留分1,500万円に対し、これを配偶者(2/3)と両親(1/3)で分けて、配偶者が1,000万円、両親1人あたり250万円となります。
■遺留分を両親で分けた場合
遺産が3,000万円あったとして、結婚しておらず配偶者がいなく、両親がいた場合には、
遺留分は直系尊属だけの場合になるので1/3の遺留分1,000万円になり、これを両親で分けて、両親1人あたり500万円となります。
遺留分は自動で支払われるわけではなく、侵害者に対して請求しなくてはなりません。これを遺留分減殺請求といいます。
内容証明郵便を送る、場合によっては裁判に申立が必要になりますので、よく調べて手続きをしましょう。
時効も、相続が開始してから1年間(知らなかった場合には10年間)と決まっていますので気をつけましょう。